Q&A

  • 1.外断熱と外張断熱とは同じですか?

    厳密には法律(告示)や日本建築学会では使い分けています。外断熱は鉄筋コンクリート造(例えばマンション)のような熱容量の大きい構造物の外側に断熱した場合を、 これに対して外張断熱は木造住宅や鉄骨造住宅の外側に断熱された場合としています。しかし、一般的にはどちらも外断熱として構造体の区別なしで使われているケースが多いようです(正しくは外側断熱と云うべきです)。 参考までにマンションのような耐火構造物の場合、「外断熱」に対して壁の室内側の断熱を「内断熱」、木造や鉄骨造の住宅では「外張断熱」にたいして壁の柱等の間の断熱を「充填断熱」としています。

  • 2.構造体の外側の断熱はどんなメリット、デメリットがありますか?

    木造と鉄骨造では違いがありますが、共通しているのは、構造躯体の外側に断熱層がきますので、躯体が外気に直接晒されず熱や雨の影響が緩和され建物が長持ちし、また、建物をすっぽり外から断熱するので熱橋(構造体断熱層を貫通する部分)が少なくなる等のメリットがあります。 デメリットとしては外側に断熱厚さ分はみだしますので土地の狭隘なところでは支障の出る場合(増改築や断熱改修時には特に注意)があります。

  • 3.木造住宅の外張断熱工法のメリット、デメリットは?具体的に。

    充填断熱工法と比較すると以下のようになります。
    (○:有利、△:不利、=:ほぼ同じ)

    項目 外張断熱工法 充填断熱工法
    熱橋
    内部結露
    気密(施工)性能
    配管配線の収まり、維持管理
    真壁構造の断熱、気密
    木目、木の吸放湿性の利用
    熱容量の利用
    断熱材厚み(断熱材厚み表参照)
  • 4.屋根断熱の場合、外張断熱工法と充填断熱工法はコストがどれくらい違うのですか?

    屋根は断熱厚さが厚く、壁よりも結露し易い部位なのでより丁寧な防湿気密施工が要求され、また外気側に通気層を必ず設けることが必要です。二重屋根に近い外張断熱工法と防風層が必要な充填断熱工法ではコストがほぼ同じになります。

  • 5.桁上断熱の場合、外張断熱工法と充填断熱工法でどんな違いがありますか?

    充填断熱工法は普通桁上断熱でなく天井断熱にします。しかし気密住宅の場合は桁上の方が気密施工が容易なので、桁上で断熱気密施工することも可能です。この場合、材料費と施工費合算でコストはほぼ同じになります。また、構造上も桁上に合板を張って気密をとりますので強度が上がるメリットがあります。

  • 6.基礎内断熱の場合、防蟻性は充填断熱工法と比べて差がありますか?

    外張断熱工法の基礎はベタ基礎を推奨しています。ベタ基礎内断熱は、同じベタ基礎の床の根太、大引きのところで断熱した充填断熱と防蟻性は同等になります。

  • 7.外張断熱工法と充填断熱工法の床下空間環境はどのように違うのですか?

    外張断熱工法の場合、基礎断熱の床下空間は室内とみなします。従って室内の換気計画の中に最初から床下空間の換気も計画的に組み込みます。そうすると室内の相対湿度が100%にならないように床下空間の湿度も100%になることはありません。
    一方、充填断熱工法の場合、床で断熱をして、床下換気口で床下空間を換気するため、梅雨時から夏の初期にかけて暖かく湿った外気が床下に入ると、温度の低い熱容量の大きい床下地表面で結露します。床下湿気防止のために全面にポリエチレンフィルムを敷き込みますので、そこに結露水が溜り、床下空間の相対湿度が100%になるのです。

  • 8.壁倍率の取得とはどんなことですか?

    平成12年の建築基準法の改正で阪神大震災の教訓から耐震性が強化されました。壁の耐力を上げる(壁倍率を上げるといいます)方法がいくつかありますが、その中で、構造用合板を2×4と同じように使用する方法がクローズアップされてきました。 柱、間柱の外側に構造用合板が張られると、合板は湿気を通しにくい性質を持っていますので、室内の湿気の堰止め効果が発揮され柱間の充填断熱工法では壁内内部結露発生の確率が高くなります。

  • 9.長期断熱性能の保持とはどんなことですか?

    平成12年に告示された「住宅の品質確保促進法」では住宅の瑕疵について10年間の瑕疵保証が課せられました。瑕疵とは雨漏りや基礎、構造上の欠陥等を指しますが、これらに欠陥があっては到底「家」とはいえないものです。
    住宅の「断熱性能」も10年どころか最低でも20年は性能保持できなければと考えています。住宅の「断熱性能の保持」は断熱材そのものの性能の劣化(内部結露で断熱材が水を含んでは一桁以上断熱性能が落ちますが)もありますが、 少しくらいの地震があっても(構造部材に変形が起きない限り)新築施工時のままの断熱状態を保っていることが必要です。それには断熱材がしっかり固定されていなければなりません。断熱欠損(断熱材が無い部分)ができてしまってはこれは「雨漏り」ならぬ「熱漏れ」の発生で「断熱欠陥住宅」です。 胴ぶちと釘で構造材にしっかり板状断熱材を固定する外張断熱工法は袋入り無機繊維系断熱材を押し込んだだけの充填断熱工法に比べて「断熱性能の保持」にはるかに優れているのは明白です。それは断熱材の「施工性の良さ」と「断熱工法の良さ」に起因しています。

  • 10.外張断熱工法の木造住宅は高気密高断熱住宅ですか?

    工法上必然的にそうなります。

  • 11. 24時間機械換気が必要ですか?

    空気環境として考えられる最も好ましい方法と考えられます。(平成14年7月1日よりシックハウス対策として建築基準法で機械換気設備の設置が義務付けられました。)

  • 12.外張断熱工法に使用する断熱材は発泡プラスチックと聞きますが環境上問題はないのですか?

    プラスチックで地球環境上問題になるのは以下の3点です。

    1.リサイクルができるか
    2.化学物質汚染源(ダイオキシンやホルムアルデヒド等)にならないか
    3.地球温暖化の原因にならないか

    当工業会で使用している発泡プラスチック断熱材は発泡ポリスチレンです。発泡ポリスチレンは種々なプラスチックの中で最もリサイクルしやすくまた実績もあり、構造的にも安定しており燃してもダイオキシンやホルムアルデヒド等の化学物質汚染源になりません。外張断熱工法という優れた断熱工法と相俟って、住宅の冷暖房の省エネルギーの効果を上げ、炭酸ガスの排出抑制の一翼を担っています。

    発泡ポリスチレンは地球温暖化の原因となるフロンは一切使っておりません。

  • 13.木造住宅の外張断熱工法はコストが高いと聞きますが?

    同じ断熱気密仕様(開口部、換気設備 冷暖房設備を含む)で比較すると充填断熱工法と変わらなくなります。

  • 14.長期国定金利ローン(フラット35、フラット50)の融資を受けることができますか?

    機構の定める技術基準に適合することで〔フラット35〕、〔フラット35 S〕、〔フラット50〕の融資を受けることができます。

  • 15.最も良い断熱材と断熱工法は何ですか?

    オールマイティな断熱材も断熱工法もありません。あればすべてがそれになっています。現存の断熱材も断熱工法も一長一短があります。外張断熱工法は発泡ポリスチレンという板状断熱材の特性を最も上手に引き出す、また日本の木造住宅の特性を最も良く生かす断熱工法の一つです。
    現存する断熱材は殆どJIS製品で、断熱材そのものはJIS規格通りの確かな品質を持っています(もちろん例外は必ずあります。JIS品は別にして特に価格の安いものには注意が必要です)。ところが施工が悪いとその性能が生かせません。ぞんざいな施工によって肝心の住宅本体に悪影響を及ぼすこともあります。
    断熱材のJIS規格通りの性能が発揮できるかどうかは、ひとえに施工の良し悪しまたは不注意にかかっています。工務店の見積もりの中に「断熱施工費(断熱工事費)」が入っていないようなところは避けたほうが無難です。断熱施工は建設業者の営業マンや工務店の社長ではなく、大工さんが行ないます。品質で名の通った酒倉に必ず優秀な杜氏が存在するように、断熱施工の優れた大工さんのいる建設業者や工務店を選びましょう。 アンテナをその方向に向けると口伝に入ってくることも多いようです。建てて住まっている人からの情報も大切です。

  • 16.マンションの外断熱工法のメリット、デメリットは?

    内断熱工法と比較すると以下のようになります
    (○:より有利、△より不利)

    項目 外断熱 内断熱
    外装材の取付け
    工事費
    構造体の保護
    防火性(室内火災)
    防火性(隣棟火災)
    熱橋処理(スラブ・間仕切壁等)
    熱橋処理(ベランダ・パラペット等)
    結露
    構造体の熱容量の利用
    暖房(開始時の室温の立上がり)
    暖房(停止時の室温の降下)
    室温の安定